〝おむつのサブスク〟BABY JOB上野公嗣代表が講演「子育てに余裕がなければ笑顔になれない」「他業種から保育見る視点が大事」~新年互礼会を開催~

 一般社団法人 日本保育連盟(代表理事・杉村栄一)の新年互礼会が1月28日(火)に東京都中央区日本橋のオルクドールサロンで開催されました。この日は昨年12月に東京証券取引所 TOKYO PRO Marketに上場したばかりのBABY JOB株式会社代表取締役の上野公嗣氏が特別講演を行い、同社の主力事業で保育施設で紙おむつとおしりふきが使い放題で日本初のサブスクとなる「手ぶら登園」や保育施設探しポータルサイト「えんさがそっ♪」などの子育て支援サービスを紹介。「子育てに余裕がなければお母さんは笑顔にもなれない」と話し、保育園や保育事業を捉えてみる時には「その道の経験者だけでなく若い保育士の視点、声に耳を傾けることがとても大事。他業種から見てみる視点が重要だ」などと熱弁を奮いました。

 講演で上野代表は、「手ぶら登園」について「専門外だったこともあるが、なぜおむつを保育園に持っていったり、排泄済のものを持って帰ったりしないといけないのか不思議だった」と振り返り、最初は認可外の保育園に洗濯機を設置して、おむつの〝手ぶら〟を始めたことがきっかけになったと説明しました。

「子育ては苦労してするべき、という固定観念が根深く残っている」と訴える上野氏

 その後、2019年には認可保育所でも使用を可能とする「おむつのサブスク」を確立。保護者は「紙おむつに名前を手書きして持参する」という手間が省かれ、保育士は「紙おむつの個別管理」がなくなるという保護者・保育士双方の課題解決につながったと語りました。このサービスは2020年に日本サブスクリプションビジネス大賞のグランプリを受賞しており、現在は全国で7000を超える施設(うち東京区部や広島市など120以上の自治体公立園を含む)で導入しているといいます。

 一方で、「手ぶら登園はなぜもっと広がらないのか」と問われることもあるといいます。それについて上野代表は「保育所への営業は5重6重でやっているにも関わらず、なかなか広がらない。その一番の岩盤は『子育ては苦労してするべきだ』という固定観念がある。これはなかなか根深くて『本当はそういうことをするべきでない』というところまで持っていくのが一番の岩盤である。九州では布おむつがまだまだ多いし、苦労する=愛情をかけてといった考え方が根深いこともある」と持論を展開する場面もありました。

新年互礼会には約60人の会員が参加して開催されました。講演後には名刺交換会や交流会が行われました。

 手ぶら登園の展望については、「制度を導入しても、子育てにおける保護者の時間短縮は15分しかできていない。これが1時間の短縮となることをまずは目指していきたい。全国2万施設での導入を目標に誰もがおむつを持っていかないで済む社会を作っていきたい」と語りました。続けて、おむつの問題というのは大量の洗濯物、布団問題に次いで3番目とも指摘。「ほかにも保育園の負担も軽減できて、保護者の時間を創出できるサービスを提供していくことが今後の道筋になる」との考えを示しました。

 互礼会には、会員の保育事業者ら約60人が参加。冒頭には、杉村栄一代表理事が保育士の専門性を高め、保育士の質の向上を目指す認定保育士資格創設に向けて「認定保育士の必要性を行政や保育関係者らに理解してもらうために今年は勝負の年になる」と意気込みを語り、制度創設に向けて幅広い協力を求めました。

新年の挨拶をする杉村栄一代表理事
一般社団法人 日本保育連盟お知らせ〝おむつのサブスク〟BABY JOB上野公嗣代表が講演「子育てに余裕がなければ笑顔になれない」「他業種から保育見る視点が大事」~新年互礼会を開催~