(株)タイミー小川嶺代表が講演「退職した〝潜在保育士〟戻る循環生まれ始める」~勉強会タイミー保育士と活用事例を学ぶを開催~

 一般社団法人 日本保育連盟(代表理事・杉村栄一)の勉強会「タイミー保育士と活用事例を学ぶ」が昨年12月26日(木)に東京都中央区日本橋のオルクドールサロンで開催されました。勉強会では、株式会社「タイミー」代表取締役の小川嶺社長が特別講演を行い、「現在、約13万人の保育士がタイミーに登録しています。一度退職した潜在保育士が戻ってくるという循環が生まれ始めています」などと話し、保育業界の将来に向けた貢献についても熱弁を奮いました。来場した会員の保育事業者らは約70人。タイミー保育士の活用法などについて熱心に聞き入り活発な質疑も行われました。
 小川氏の講演要旨は以下の通りです。

🔳「条件検索」でマッチング「登録者」は900万人 
 タイミーは、求人サイトでも派遣でもない、「働きたい」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービスです。アプリ一つで1日からすぐに自由に働ける。面接や履歴書不要で、タイミーが立て替えて即日給与を振り込むことが特徴です。現在、スキマバイトサービスではナンバー1で、導入している法人は13万6千社、ワーカー数900万人にのぼり、支店も全国にあります。ホテル業界と介護業界が伸びてきており、その次に保育業界が伸びてきています。ワーカーは10代から30代の若年層が多く、若干女性が多い。学生、主婦だけでなく会社員の副業、シニアも世代も使用しています。タイミーではマッチング機能が充実しており、条件を絞って検索することができ、保育士資格などでマッチングすることも可能といえます。

 雇用側からみると、ワーカーの履歴書だけだと「本性」が見えないが、タイミーだと過去にどのようなところで働いてどのような評価を受けているかも可視化されています。もちろん、希望を受けてもキャンセルすることもできます。条件に合い、コツコツ努力をしている人が報われるような仕組みにしている。ただ、当日仕事に来ないとか、(素行が)良くない人はふるいにかけられます。

 リピーター率は94%で引き抜きもできるので、新しい求人方法としても広がっています。2002年頃から日本は人手不足になっており、求人を選べる時代ではありません。求人媒体というのは、人手が余っていた時代のみに使える手法。人手不足の時代に必要な仕組みが求められるようになってきています。そういう意味では企業の意識変革が求められているといえます。

タイミーのマッチングシステムについて話をする小川嶺代表

🔳保育士登録は13万人~保育業界に貢献する
 タイミーの社員は現在1100人いますが、そのうち700人は営業です。各業種に特化したチームで営業を展開しています。今日一緒に参加しているのは保育業界チームです。コンサルタントがやっていることも含めて我々がやっています。(人口減少社会の中で)子どもが増えていかないと日本は衰退します。労働人口は減る一方です。タイミーで保育業界ならびに日本の将来に貢献していきたいと思っています。

 保育業界において離職の理由は主に人間関係などです。心理的なハードルを下げていくと、自宅の近所で働きたいとなります。ブランクがあっても大丈夫か、コミュニケーション課題等もあります。約13万人の保育士がタイミーに登録しています。一度退職した潜在保育士が戻ってくるという循環が生まれ始めています。1日だったら戻ってやってみようかな、というハードルをそこまで下げたからこそ戻ってくるケースもあります。

 本業では経験できないことをする。いいところだったら就職したい、長く働きたいという意欲につながることもあります。保育という仕事は好きなんだけど、人間関係で離職。でも、タイミーでまた戻ってきたという事例もあります。導入費用ゼロで、実際使ってみても少額です。胸を張れるサービスだと思っています。これから人手不足はますます多くなっていくので、ぜひ活用してみてほしいと思っています(談)

【タイミー保育士の活用事例について(要旨)】
タイミー保育士の具体的な活用事例について、株式会社アイ・エス・シーの大島可南子氏が登壇し、小川代表やタイミー社の藤谷知寛氏とタイミー保育士を活用したきっかけやメリット、課題などについて意見を交わした。対談要旨は以下の通り。

タイミー保育士の活用事例について話をする株式会社アイ・エス・シーの大島可
南子氏(中央)、左は小川代表、右はタイミー社の藤谷知寛氏

(大島)「タイミー保育士を活用するきっかけになったのは、人員配置は4月に向けて毎年働きかけていくが、どうしても離職して一定数が減ってしまう。従来よりも早く募集をかけ、派遣で雇用するということをしていたが、スポットワークも活用できるのではないかという点で使いはじめました」
(藤谷)「活用において不安はありませんでしたか」
(大島)「サービスが真新しかったので興味はありました。ただ、保育業界ではどうかと思っていましたが、新しいことを試みてみようという気持ちでした。タイミーで求人を掲載すると、たくさんの方が見てくれていることにまず驚きました。派遣の場合は一定の採用期間が必要であり、それでいて長期雇用を前提としているので、なかなか集まらない。そこがタイミーとは違いました」
(藤谷)「求人によってマッチング率は実際に75%から80%に上ります。現場での印象はいかがでしたか」
(大島)「アプリ上に求人条件を記載してマッチングになるので、その辺は安心感もありましたが、実際にどうかという不安も。ただ実際には、既存の保育士や子どもたちとたくさんコミュニケーションを取ってくださる方が多いのでよかったです」
(藤谷)「良くないワーカーもいましたか」
(大島)「残念ながらそういう人もいないことはない。勤務態度や身だしなみの面で、その場で注意しましたが、受け入れてもらえないというケースもありました」
(藤谷)「そういう方は、システム上でブロックをすることができるので、その場限りです。タイミーとしても、良い方とつながるように支援していきます」
(大島)「お試し求人という試みもしています。インターンのイメージです。実際に現場で勤務することで、本雇用にどうかなあというものであります。今期に入って2名は直接雇用につながっています。ひとりは正社員でひとりはパートです」
(藤谷)「実際に採用につながったのはどのような方ですか」
(大島)「経験5年くらい。就活ツールとしてタイミーを使っていたとのことです。タイミーで5~6園でスポットワークをしたが、よい園に巡り合えなかった。その上でアイ・エス・シーを気に入り選んだ。向上心があり現場での評価も高いです。派遣で利用する比率が減ってきていてスポットワークのほうがメリットが多い。人事部でスポットワークのほうを推奨しているわけではありませんが、派遣と使い分けています」

【質疑応答】
(回答者は株式会社タイミー小川代表及び藤谷氏)
―― 子どもの命の安全を第一優先にしないといけない仕事で、どのような人物かまだわからない人に働いてもらわねばならないリスクについてご指南を頂きたい
「審査して頂く段階で可能な限り支援したい。事前注意事項で、初回の方には補助的な業務に入ってもらい、少なくとも児童とは1対1にはならない業務に限る。スキルを確認した上で、この方ならば任せられるという段階になってから入って頂く、ということをご案内している。特定取消し者のデータベースの照会もできる。ワーカー用マニュアル、企業側マニュアルともに存在し、どのような業務を任せられるのかということを伝える。その上でも、よくない人に関してはブロックをかけていただくようにしています」

―― 給食介助に必要な検便の確認というのはどうなっているか。1日だけ即戦力となると難しいのでは
「タイミー経由で、検便をクリアした方ということで検索をかけることができますし、タイミーのほうから検便キットをお送りすることもできます」

―― ワンデーインターンについて、タイミー上で告知できるものか。あるいは他のSNSとも連携したほうがよいのか
「タイミーには13万人の保育士がいるので、タイミーで一定の効果は得られるとは思うが、もちろんSNSとも連携してもらってもよいです。案件のURLが発行できるので、TikTokなどに貼り付けることもよいでしょう。一例で、「あさっての案件」といったものでリンクをつなげることもできます」

会場には会員ら約70人が訪れ、活発な質疑応答も行われた

―― ブロックについて教えて下さい
「リスト自体の情報共有は個人情報の観点からできない。一方で、ブロック率は1%です。働き手も限られた期間や業務、例えば1日だけで活躍することは難しいなかで、チャレンジ旺盛な方・意欲が高い方がタイミー登録者には多いと考えています」

―― 本当に忙しい業務になると現場がピリピリしていて受け入れも難しいこともあるのではないですか
「余裕があるところから型を作り、パターンを作ってから横展開し、受け入れるということは一案です。忙しい場合に受け入れ負担をどう減らすか、営業がマニュアルを作成する、ポイントをワーカー希望者に伝えるなど支援していきます」

―― 伸びている介護等と比べて、保育は何か違いはあるか
「リスクに関する意識が高い。タイミー内で介護が先に営業チームができたこともあり、整備のタイムラグもあるので拡大していきたい。また、介護は無資格者が多く働いている。分業を行い、配膳や清掃などは無資格でいいなど、分業を進めている。保育でも分業ができるか等検討をして、潜在保育士の掘り起こしに貢献していきたいです」

 全体の勉強会に先立ち、認定保育士資格創設に向けたワーキンググループも行われました。この日は、認定保育士資格取得までの手順について委員の間で議論が交わされたほか、座長を務める星槎大学教授の坂田映子氏から認定保育士資格を取得するために必要となる研修カリキュラムの履修科目について提案及び説明がありました。この提案をたたき台として各委員からはさまざまな意見や発言があり科目内容や研修期間(時間)などについて検討が行われました。課題を整理した後、2月に開催するワーキンググループで引き続き研修カリキュラムについて協議を行うことになりました。

2024年最後のワーキンググループでは、認定保育士資格創設に向けた研修カリキュラムについて検討が行われた

一般社団法人 日本保育連盟お知らせ(株)タイミー小川嶺代表が講演「退職した〝潜在保育士〟戻る循環生まれ始める」~勉強会タイミー保育士と活用事例を学ぶを開催~