都議会3会派の政策リーダーと学ぶ子育て支援の最新動向~認定保育士プログラム開始を踏まえた公開シンポジウムを開催~
一般社団法人日本保育連盟(代表理事・杉村栄一)の定例勉強会「都議会3会派の政策リーダーと学ぶ子育て支援の最新動向」をテーマにした公開シンポジウムが10月31日に東京都世田谷区の駒澤大学深沢キャンパスのアカデミーホールで開催されました。都議会を代表する政策調査会長が揃ってシンポジウムに登壇するのは極めて異例とあって、会場には約70人の保育事業者や現役保育士、事業関係者が訪れ、都政と現場の新たな連携の可能性が語られました。
登壇したのは、都民ファーストの会の後藤なみ都議、公明党の松葉多美子都議、国民民主党の宮崎大輔都議の3氏です。

シンポジウムでは、まず、後藤都議が小池都政における都の主要な子育て支援策を説明。子育てインフラの整備について「これからの保育は子育て家庭の課題解決拠点として役割が求められる」と持論を展開しました。また、東京都が実践を促進する「東京すくわくプログラム」では園同士の学び合いのネットワークの中核として位置付ける「すくわくナビゲーター園」への応募を呼び掛ける一幕もありました。
続いて、公明党の松葉多美子都議は子どもの安心安全、遊び場、居場所、学びなど子ども政策の基本的な視点を一元的に規定し、自ら制定に関わった「東京都子ども基本条例」を紹介。子どもたちの穏やかな成長にむけて「チルドレンファースト社会の実現には、保育と家庭の切れ目のない支援体制の構築が必要になってくる」と語り、保育現場と行政・都議会との連携の重要性を改めて指摘しました。
「現在、3人の子どもの子育てを実践中です」と話したのは、国民民主の宮崎都議。今年6月の都議選で初当選を果たした宮崎都議は子育て支援について、「保育の質向上や現場の人材確保の課題を共有し、都政と国政を結ぶ視点から方向性を模索していきたい」と語りました。また、集団的保育の中で遊びを通じて非認知能力(意欲、協調性、共感力など)を学ぶ意義について言及しました。
続いて、一般社団法人 日本保育連盟が認定する「認定保育士」資格の取得に必要な専門的知識を学ぶ認定保育士履修証明プログラムが今年10月から星槎大学で開始されたことを受けて議論が交わされました。同プログラムは、保育士を対象として保育現場の課題を直接的に解決できるような専門性を身に付けるための教育プログラムで履修は8科目で構成。科目ごとにオンデマンド講義、Web ライブ研修、レポート作成があり、合計60時間のプログラムとなっており、修了者には学校教育法の規定に基づく履修証明書が交付されます。
後藤都議は、「都民ファーストの会としても、東京都が進めるキャリアアップ研修や研修体系に認定保育士の視点をどう接続できるかを検討していきたい」と述べ、都政レベルでの制度支援の可能性に言及。松葉都議は、「新しい資格制度を定着させるには、都と事業者団体が協働するための仕組みづくりが重要で、今後、議論を重ねていきたい」と強調。宮崎都議は「認定保育士制度では保育士のキャリアパスが明確になる」と指摘。そのうえで「保育士の処遇改善に結びつけていくことが必要だ」と語り、国民民主での協議を始める考えを明らかにしました。
シンポジウムでは、東京発の子育て支援モデルが、全国の保育人材政策の方向性を変える可能性もテーマとなり、後半のクロストークでは、3氏がそれぞれの立場を超えて議論を交わし、「保育の専門性を見える形で社会に伝える仕組みをつくるべきだ」という点で一致。最後はファシリテーターを務めた石元悠生氏(日本保育連盟事務局長)が「都政の現場と共有する初の試みとして今後の保育政策形成に大きな意義を持つものとなりました。認定保育士は専門性の向上だけでなく、信頼を可視化するための制度」とまとめました。

写真は左から日本保育連盟の杉村代表理事、松葉都議、後藤都議、宮崎都議の順
