島しょ地域の保育課題を共有、研修と視察を実施 ~日本保育連盟が島しょ連絡協議会と連携、台風被害の八丈島へ寄付も~
一般社団法人 日本保育連盟(代表理事・杉村栄一)は11月13日、東京都の島しょ部の保育所責任者連絡協議会が行う研修会において講演、視察、行政との意見交換を含むプログラム全体を担当しました。小笠原諸島、八丈島、三宅島、大島、利島、新島、神津島から保育園の園長や福祉担当者ら15人が参加し、島しょ地域における人材確保や保育の質向上に向けた学びと協議が行われました。
■保育士の採用育成、認定保育士の可能性を講演
午前の研修では、連盟の貞松成理事が登壇し、「島しょ地域から考える保育士の確保と育成―認定保育士の可能性」をテーマに講演を行いました。島しょ地域が抱える慢性的な人材不足や専門性の継承の難しさを踏まえ①保育士採用の現状と課題②保育士の経験年数による保育の質の差異③認定保育士資格による専門性向上とキャリアパスの構築―など具体的なデータと研究成果を基に解説しました。

参加者からは、「うちの島ではこういう工夫をしている」「こんな悩みがある」など、たくさんの意見が寄せられ活発な意見交換が行われました。
■「誰でも通園制度」実施園を視察
続いて一行は、2026年度から本格導入される「誰でも通園制度」の試行園の高井戸東保育園(東京都杉並区)を訪問しました。園内の視察では、制度の運用実態や地域との連携のしくみなどが紹介され、島しょ地域での制度導入を見据え据えた実践的な学びの機会となりました。

視察後は東京都庁を訪れ、福祉局子育て支援部の立澤文教課長と面談し、保育士の採用や保育関連の補助制度、誰でも通園制度の進め方などについて現場の声を踏まえて意見交換を行いました。
■ 連盟が研修を一括して企画
今回の講演、視察、行政懇談のすべての研修メニューは連絡協議会からの要請を受けて連盟が企画立案し、調整して実現しました。島しょ地域の保育行政や保育現場が一体となって学ぶ機会を創出することで、今後の保育士確保や質の向上に向けた道筋を共有する場となりました。
■ 八丈島の子どもたちに寄付
また、連盟では、10月に2度の台風被害を受けた八丈島の子どもたちのために活用してほしいとして、連絡協議会に現金5万円を寄付しました。つい先日には休園していた園も再開するなど「元の生活が少しずつ戻ってきた」(若草保育園、土屋洋子園長先生)といいます。

寄付を受け取る若草保育園の土屋洋子園長先生(左)
島しょ地域の保育は地理的制約や人材確保の困難さなど、都心とは異なる課題を抱えています。今回の研修と視察、行政との対話で課題を共有しながら島しょ部の子どもたちにとってより良い保育環境を考える取り組みが一歩前進したのではと考えます。連盟では、今後も保育政策の推進と現場を支える実践的な支援に取り組んでいきます。
