こども家庭庁の栗原氏が講演~「量から質、地域対応へ」見直し進む保育政策 勉強会
日本保育連盟(代表理事・杉村栄一)は4月9日、東京都中央区の日本橋オルクドールサロンで定例勉強会「高市政権における保育政策の動向と今後」を開催しました。勉強会では、こども家庭庁保育成育局保育政策課長の栗原正明氏が講演し、「保育という言葉は日々のニュースの前面には出てこないが、政策の中身はかなり動いている」と述べ、保育政策の見直しが進んでいる現状を明らかにしました。政府の令和8年度予算が成立した直後とあって会場には約70人の保育関係者が訪れ、活発な意見交換も行われました。
量から質へ
栗原氏は、待機児童対策について「都市部では引き続き対応が必要な地域がある一方、地方では子どもの減少で施設の維持が難しくなっている」と述べました。そのうえ、保育政策の新たな方向性として①質の高い保育の実現②すべての子どもと家庭への支援③人材確保と業務改善―の三つを提示。このうち質については、「安全であることは大前提だが、それだけではなく、子どもの育ちをどう支えるかが問われている」と述べ、「どの施設に通っても一定の質が保障されることが重要」と語りました。

地域対応と子ども支援
また、低年齢児への支援については「制度の谷間にあった部分を埋めていく必要がある」とし、「こども誰でも通園制度」によって「すべての子どもの育ちを支える仕組みを整えていくことが大事になる」と説明しました。続けて、障害児や医療的ケア児についても「保育と療育が分断されていては意味がなく、その連携をどうつくるか」と語り、都市部と地方の課題が異なる中で地域の実情に応じた対応の必要性を改めて強調しました。
人材の専門性どう高めるか
人材確保については「保育の配置基準を上げればすべて解決するというものではない」としたうえで、「テクノロジーの活用も含めて持続可能な制度にしていく必要がある」と保育DXの導入などについても触れました。
質疑応答では、保育事業者から「こども誰でも通園制度」の採算性や人員配置の現実性などの質問が相次ぐなど、実際の運営面への関心の高さが目立ちました。これに対して栗原氏は、「こども誰でも通園制度は利用量に応じた給付となっている」と説明。そのうえで、「対象が広がることで需要は今後伸びていく。もし制度全体として課題が見えてくれば公定価格の議論の中で見直すこともあり得る」と今後の見通しを示す場面もありました。
専門性とキャリア形成
また、保育人材のキャリア形成についても議論が及び「保育士資格だけでは専門性の違いが見えにくい」との指摘が出るなど専門性を段階的に評価する仕組みの必要性が提起され、中には連盟が進める認定保育士資格への取り組みに対する言及もありました。
栗原氏は、「今の制度は比較的フラットで経験や専門性の違いが見えにくい面がある」と認めたうえで「今後は、それぞれの分野で専門性を高めていけるような仕組みが必要になる」と持論を展開。研修や実務で身に付けた知識や経験が評価されるような形にしていくことが重要との見方も示しました。

今回の講演は保育政策が量から質へと移行するだけでなく、地域格差や人材不足といった課題に対応する新たな段階に入っていることが示され、参加者の関心の度合いが高いものになりました。
次回の勉強会は、千葉支部が5月26日(火)船橋勤労市民センター、東京は6月25日(木)駒澤大学深沢キャンパスのアカデミーホールにて開催予定です。テーマなど詳細は決まり次第、ホームページ上でお知らせいたします。
